2020年1月12日 サンデーモーニング(前編)

2020年1月12日 サンデーモーニング(前編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年1月12日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 台湾の選挙における蔡英文総統の圧勝について報道された部分
② イランによる民間機撃墜について報道された部分
③ IR汚職問題の進展について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 台湾の選挙における蔡英文総統の圧勝について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
 台湾の総選挙において、蔡英文総統が圧勝し再選した。親中派の韓国瑜氏を大きく引き離し、中国に強硬な姿勢を取る蔡英文総統が817万票(得票率57.1%)を獲得。蔡総統は中国が求める「一国二制度」によるとういつを受け入れないなどと訴え支持を広げた。一方中国政府はこの結果を受けて、「いかなる台湾独立のたくらみや行動にも断固反対する」とのコメントを発表している。

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【コメンテーターの発言】
松原耕二氏(パネル説明要約):「今日の香港、明日の台湾」という香港のデモの人達の合言葉となっているが、今回の結果もこの言葉で紐解ける。昨年1月時点では韓氏が大人気だったが、一国二制度のためには武力行使も辞さない姿勢を示した習近平に台湾の人は非常に反発。香港でデモが本格化した夏頃、警察による取締まりの過激化をみた香港の人達が「これこそ明日の自分たちだ」と思ったのではないか。ちょうどその頃に支持率が逆転した。これを盛り返すために中国側は韓氏に資金を投入したとみられるが、中国の強権的姿勢に台湾の人はNOを突き付ける結果となった。また、10年後の香港の状況を描いた2015年公開の香港映画「10年」では、抑圧された香港から台湾に逃げる人達が出てくると描いているが、現実では既に香港から台湾に脱出する動きがある。もう一つは、米中の代理戦争。アメリカが台湾に巨額の武器を売却した。中国側は台湾海峡に空母を派遣したが、台湾の人はアメリカを選んだことで、習近平は台湾政策の練り直しを迫られることなった。台湾の人は口々に「自分は中国人ではなく台湾人」と言っている。若い人ほどその傾向は強い。中国による台湾統一は時間が経つにつれてどんどん難しくなっているのではないか。

関口宏氏:はい、どうもありがとうございました。浜田さん、何をお感じになりました?

浜田敬子氏(要約):経済が停滞する国が多い中で、経済大国である中国は非常に眩しく見える。でもその裏には個人情報やプライバシーを国家が吸い上げている。日本の経営者ですら中国を礼賛する人が結構いるが、それが違うということが露わになった。経済成長しても香港の若者が豊かになっているわけではないことも中国のデモで明らかになった。これが若い台湾の人を覚醒させたのではないか。高い投票率も、台湾、台湾の人を守ろうという意思の表れ(証)であると感じた。

関口氏(全文):それでもやっぱり、僕には、大きな大差って感じがしなかったのはね、やっぱり中国を頼りにしたい人も多いんでしょうが、姜尚中氏どうお感じになりますか?

姜尚中氏(全文):やはりそうだと思います。だから、あまり変化が起きないでむしろ現状維持がズルズルと続いていくんじゃないかな。だから中国もそう大きなアクションを起こせないし、台湾も多分まあ、そう言いながら中立化を維持せざるを得ない。だから大統領選挙が終わるまで、ある種の雪隠詰めのような状態がね、続いてるんじゃないか。(関口氏:アメリカですか?)アメリカも中国も台湾もです。そういう状況なので、これが大きな変化をもたらすかというと、どうもそうではないんじゃないかという気がしています。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、関口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、姜尚中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、関口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
関口氏は今回の報道で、以下のような発言をしています。

関口宏氏(全文):はい、どうもありがとうございました。浜田さん、何をお感じになりました?
浜田敬子氏(要約):経済が停滞する国が多い中で、経済大国である中国は非常に眩しく見える。でもその裏には個人情報やプライバシーを国家が吸い上げている。日本の経営者ですら中国を礼賛する人が結構いるが、それが違うということが露わになった。経済成長しても香港の若者が豊かになっているわけではないことも中国のデモで明らかになった。これが若い台湾の人を覚醒させたのではないか。高い投票率も、台湾、台湾の人を守ろうという意思の表れであると感じた。
関口氏:それでもやっぱり、僕には、大きな大差って感じがしなかったのはね、やっぱり中国を頼りにしたい人も多いんでしょうが、姜尚中氏どうお感じになりますか?

要旨をまとめると、
・今回の台湾での選挙結果は大差とは言えない。やはり中国を頼りにしたい人も多い。

というものです。

しかしながら、
・浜田氏の発言の通り今回の選挙では高い投票率のなかで圧勝しており、関口氏の「大差ではない」という主張は明らかに事実に反している。
・中国を頼りにしたい人も多いという主張には何ら根拠がない。
・浜田氏の発言内容に対して具体的な反論もなく「それでもやっぱり僕には大差だとは思えない」などと個人的な感想を以て反論する姿勢は明らかに中国側に偏ったもので政治的に公平とは言えない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での関口氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、姜尚中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
姜尚中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

姜尚中氏(抜粋):あまり変化が起きないでむしろ現状維持がズルズルと続いていくんじゃないかな。だから中国もそう大きなアクションを起こせないし、台湾も多分まあ、そう言いながら中立化を維持せざるを得ない。だから大統領選挙が終わるまで、ある種の雪隠詰めのような状態がね、続いてるんじゃないか。(関口氏:アメリカですか?)アメリカも中国も台湾もです。そういう状況なので、これが大きな変化をもたらすかというと、どうもそうではないんじゃないかという気がしています。

要旨をまとめると、
・今回の選挙ではあまり大きな変化は起きず、現状維持がズルズル続いていく。
・中国も大きなアクションを起こせず、台湾も中立化を維持せざるを得ない。アメリカ大統領選が終わるまで何も起きないはずだ。

というものです。

しかしながら、
・アメリカ大統領選の結果が台湾や中国の内政・外政に影響を及ぼすことが事実だとしても、それはアメリカ大統領選の結果が出る前に中国台湾で大きな動きが起きる可能性を否定するものではない。したがって姜尚中氏の「今回の選挙で大きな変化は起きない」とする主張は事実に即しているとは言えない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での姜尚中氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② イランによる民間機撃墜について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ IR汚職問題の進展について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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